近未来少年少女


『それなら僕も……』

沈黙が続いていたミノルが口を開いた

『え?』


『それなら僕もこの桜を残してみようかな…』

………?

俺が首を傾げたと同時に、ミノルは歩き出す

『どこ行くんだよ…?』


慌てて追いかけようとするが、
『ちょっと待ってて』の一言で俺の足は止まった

ミノルの行く先を目で追うと、その足は病院へと向かっていた

……な、なんだ?


突然置いてきぼりにされた俺は、ただその場に立ち尽くしていた
……………………
…………

暫く経ってミノルが戻ってくると……その手には“何か”を持っていた

ミノルが持っていたのは、焦げ茶色の少し大きいカバンのような物


ミノルの細い腕では随分重そうなカバンだった

ミノルはスタスタと歩き、公園のベンチに座った

俺もその後を追い、チョコンと横に座ってみる


『それなに……?』

カバンを指さして聞いた

その瞬間、パチンッ!パチンッ!と金属音が二回聞こえた


それは焦げ茶色をした不思議なカバンからだった

カバンと言っても、形はそうなんだけど……普通の物じゃない

このカバンはパカッと開くらしく、それを閉じる為に付いてる金属の留め具を外す音だった


な、なにが入ってるんだろ……?

俺はドキドキしながらカバンに注目した

パカッ

その中身は俺が今まで見た事のない物が入っていた



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