近未来少年少女



『はい、これ持って』

ミノルから手渡されたのは俺の靴

ミノルはそーっとドアを開け、昨日通ったルートを逆戻りして行く

俺はその後を寝癖が付いたままの髪型で付いて行った…………………
……………

誰にも見つからず、非常階段の入り口にたどり着いた俺達は足を止めた


な、なんかコソコソと泥棒になった気分だな………

くだらない事を思ってる中、ミノルが申し訳なさそうに言う


『ごめんねユウキ…朝早くに、しかもこんな追い出す感じになっちゃって…』


『え?な、なんでミノルが謝るの?俺が無理に泊めてもらったんだからさ…それに看護婦さんに見付かったら俺だけじゃなくミノルも怒られちゃうし』

俺の言葉にミノルはフッと笑った


『別に怒られるのが嫌な訳じゃないよ』

『え?』



『今日見付からなかったら……
また次も出来るでしょ?』


ミノルの笑顔が俺には天使のように見えた

家に居たくなくて飛び出した昨日の夜

一人ぼっちで公園に居て、一晩ここで過ごそうと思った


“また次”


ミノルのその言葉に俺は確かな自分の居場所を感じた

また来てもいいんだ、そう思うだけで…………


今日も明日も明後日もその先ずっと頑張れるような気がした




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