近未来少年少女


絵は額縁に入れられ、入り口の横に飾られた

薄く暗かった駄菓子屋がパァッと明るくなった気がした

…………………………
………………


『じゃぁ…もうそろそろ帰るね』

俺達はおばちゃんに別れを告げた

『気を付けてね』

おばちゃんが優しく手を振る

いつも見えなくなるまで手を振ってくれるおばちゃん

“また来るからね”

俺は帰り際、決まってそう言う……なのに今日は言わなかった

手を振りおばちゃんと距離が離れていくにつれて、込み上げてくる後悔に胸が熱くなった


『おばちゃーん!!!!』

俺は離れた所で叫んだ

隣でミノルがビクッとしていた

小さくなったおばちゃんを見ながら

『またね!!!!』

そう言って手を大きく振った


“またね”
たぶんいつもみたいに傍で言えなかったのは………


泣きそうになるから

遠くに居る今でさえも、こんなにも苦しい


なんでこんな気持ちになるの?

なんで泣きそうになるの?

“またね”ってこんなに悲しい言葉だっけ?

自分でもよく分からない感情を必死で堪えて、ミノルに悟られないように我慢した

でもきっとミノルの事だから………

俺の気持ちなんてとっくに見透かされてたと思うけど


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