近未来少年少女



帰り道、いつもと違う道を歩いて帰った

ウノ川の土手沿いを二人で歩く

沈みかけてる太陽が水辺を照らして、キラキラと宝石みたいに輝いていた

それと同時に、俺の気持ちも沈んでいた


なんで三人で居るのが最後だなんて思ったんだろう……?

そんな事を考えていた


『……キ……』

『………』


『ユウキ?』

ミノルの問いかけに慌てて我に返る


『え?な、なに?』

そんな俺の姿を見て、ミノルは意味深に微笑んだ


『僕こんなに楽しかったのは生まれて初めてだよ』


『え?』


『僕、ユウキに出逢ってたくさんの“楽しい”を知ったよ。今日もすごく…すごく楽しかった』


俺はハッとした

自分でも訳も分からない不安にとらわれて沈んでいたいた事が恥ずかしくなった

“永遠なんてこの世界にない”

あの時のミノルの言葉が頭を過った


確かにミノルの言う通り“永遠”なんてないのかもしれない


だけど今日が楽しいと思えたらそれでいい

この時間が永遠に続けばいいと思えた事が幸せな事なんだから


先の事なんて分からない

隣に当たり前のように居るミノルとも……


いつか

いつか別れが来る


だから大切にしようと思った

当たり前の日常を一生心に残るようにー…


『じゃぁこれからたくさん楽しい事しようよ』


俺は笑ってミノルにそう言った


『うん』

ミノルの声が耳に聞こえたけど、川の反射した光が丁度顔を照して表情を隠した

だから俺はミノルが今、どんな顔をしているのか分からなかった


ミノルは笑って“うん”と言ったのか、それとも…………………

………………………

……………



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