近未来少年少女



俺はその理由を知っている

“私は父親として出来る事をこれからやっていくよ”

言った事ちゃんと守ってくれてるんだ…


『部屋に来ても用がある訳じゃなさそうなんだよね…』


あんな事があったなんて知らないミノルは、おじさんの変化に少し戸惑いがあるみたいだ


『ミノルと話しに来てるんじゃない?』

俺は平然を装い、知らない顔をした


『そうなのかな……?でもね、いつも“体調はどうだ?”とか“今日は天気がいいな”とか一言だけで……』

俺はおもわず吹き出した


ミノルとの距離を縮めたいけど、戸惑っているおじさんの姿が想像できたから


『……ミノル嬉しいんでしょ?』

困惑しながらもミノルの顔は笑顔だった


『え?嬉しい……のかな…僕…、こんな事初めてだからどうしていいか分かんないけど…』


そんな様子に俺は

『よかったね』と心から言った


俺はミノルにおじさんと話した事を言っていないし、たぶんこれからも言わないと思う


だって……

あれは俺の勝手なお節介だから

だけど、あの日をきっかけにミノルとおじさんの距離を縮める手助けができたなら

こんなに嬉しい事はないよ


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