近未来少年少女



家の中は外から見るより広くて綺麗だった

木彫りの置物や高そうな掛け軸が壁に飾られていて、長く続く廊下にはたくさんの部屋

その部屋の襖(ふすま)には金色の竜や牡丹の花などが書かれていた


一軒家と言うよりは民宿でも出来そうな程、部屋数が多くて………

俺は黙々と案内されるがまま、廊下を突き進んで行った


『随分歩いたでしょ?ゆっくり休んでいってね』

しなやかな口調でミノルのお母さんは言った


なんだか品が有りすぎて緊張する……


『でも嬉しいわ。あの子に会いに来てくれる友達が居たなんて。きっときっとミノル喜ぶと思う』


ミノルのお母さんはそう言って、一室の部屋の前で止まった

そして、ゆっくりと襖が開かれていく


開けた瞬間、畳のいい香りがした

俺の瞳に少しずつ…少しずつ、部屋の光景が映っていった


『ミノル、お友達が来てくれたわよ』

完全に襖が開かれ、ミノルのお母さんは中に向かって話しかけた


ドクン…………

ドクン………ドクン……………


…………………


< 526 / 599 >

この作品をシェア

pagetop