太陽が泣いた昼下がり【完】
「…陽子ちゃんが好きなの?」
…え?私?
突然の、女の子の言葉に声が出そうになった。
「……違う、陽子はただの幼なじみだよ」
『ただの幼なじみ』
その言葉に、酷く心が締め付けられた。
あぁ、そうだ…
私、タイチの事が好きなんだ。
でも、もう遅い。
タイチは私の事なんか、何とも思ってないんだ。
バカな自分に吐き気がする。
今更気付いて、失恋なんて………
ーーーーーーーー
その日の夜、私は初めてタイチとキスをした。
「私、彼氏ができたんだけど…その人、経験者って感じでさぁ………、
ファーストキスで幻滅されたらヤだし、タイチ、キスの練習させてよ」
私の言葉に、タイチの瞳が揺れた。
その目は、まるでこの世の終わりを見たような色をして………
今にも、泣きそうな目だった。