悪夢の少女
王子と少女

ードスンドスンドスン

遠くから大きな足音がする。

…この音…昔…聞いたことがある…?

聞き覚えのある音に首を傾げると遠くから子供の声がした。

「イヤァ!!!お母さんを離して!!!!!」

叫びながら巨人の足をバシバシ叩いている。

…これは…私…?

巨人は子供…私を見つけると

ーザシュッ

その大きな爪で背中をひっかいた。

私はその場に倒れこむ。

巨人が私を大きな足で踏み潰そうとした時、

「やめろ!!!」

男の人が私を巨人の足に踏まれる前に助け出した。

…これは…お父さん…

男の人…お父さんは私を遠くに運んでくると、包帯を背中に巻いてこう言った。

「お前は、どこか遠くに逃げなさい。あの巨人を倒さないと…世界は不幸に包まれる!!」

「イヤ!!!お父さんと離れたくない!!!」

「ダメだ。逃げるのだよルリ。お父さんはきっと、大丈夫だから。」

それだけ言うとお父さんは巨人に向かって走り出した。

「お父さん!!お母さん!!!どうか…無事でいて!!!」

私はそう言うと立ち上がり、フラフラと歩き始めた。

ふと後ろを向くと

ーグシャリ

周りに飛び散る鮮血。

巨人の手の中には…

グシャグシャになったお母さんがいた。

お父さんの姿は、どこにもなかった。

「イヤアアアアアアアアア!!!お母さん!!お父さん!!」

「ルリ!!」
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