今夜、きみの手に触れさせて


そのとき――


誰かが弾丸のように飛び込んできて、修吾を押さえているやつを殴り倒した。




「ヤス!」


片手が自由になった修吾は、反対側にいる相手を殴り飛ばす。


そうして修吾と一ノ瀬が向かい合った。


オレを押さえ込んでいたやつらが、そっちに気を取られている間に、オレは速攻その力から逃れる。




それから先はどうなったのか、ちょっと覚えてねーな。


誰をどう殴ったのか、誰に蹴られたのか、


とにかく敵味方が入り混じって、もみくちゃになっていた。




ただ、修吾だけは一ノ瀬と差しで勝負できるようにと、なだれ込んでくる北中の連中を、みんなで必死に食い止めていた。




そうして、つかみ合いの攻防が続き――










「や……めろ。もう……いい」



しばらくすると、低く苦しげなうめき声が聞こえてきた。


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