今夜、きみの手に触れさせて
「言い訳ぐらい自分でしろよ」
「わかってるけどダメそうな場合は、お前らの出番だからな。ヤスそーゆーの得意だろ?」
と、修吾はヤスに言う。
「純太も今みたいなこと言ってくれればいーからさ」
今度はオレに向かってそう言った。
「やだよ。他のやつ連れてけって」
オレが拒否ると、修吾は周りを見渡して首を横に振る。
「無理無理。顔にダメージ少ないのお前らぐらいだもん」
オレだって殴られて唇の端とか切れてるし。
けどまぁ、みんなの顔を眺めると、確かにそうかも……。
修吾は掴んだ手を離さない。
「しゃーねぇなぁ、もう」
とりあえず、チャリのない修吾をヤスの後ろに乗っけて、彼女んちまで連れて行った。
「へぇ~、でっかい家!」
律ちゃんって子の家は、閑静な住宅街の真ん中にあった。
オレたちはチャリを降りて、その大きな家を見あげる。