今夜、きみの手に触れさせて
「ポストにでも入れとけば? 女子はもれなくケンカがキライだぞ。翔子だってオレがケンカするとスゲー怒るもん」
「マジか」と修吾。
「はは、フラれろ、フラれろ」
オレがそう笑うと、修吾にギロッとにらまれた。
「でもな、」とオレは言う。
「このケンカ、修吾が仕掛けたんじゃないこと、彼女だって知ってんだろ? そもそも修吾ひとりなら、初めに囲まれたときに、ちょこっと戦って逃げられたはずだ」
「だよな。律ちゃんを守るためにおとなしく連れて行かれて、こーなったんだから」
とヤスも続ける。
「それを幻滅するよーな女なら、こっちからフッてやれ」
すると修吾はカラになったカップ容器を下に置き、オレとヤスの手をはっしと掴んだ。
「頼む。ついてきてくれ」
え――……?