今夜、きみの手に触れさせて



部屋中の雰囲気が変わってしまい、向けられた視線が、射すようにイタイ。


まるでわたしが小川さんから彼氏を奪ってしまったかのように、憎しみのこもった目で見られている。




ちがうのに。


わたしは矢代くんの彼女なんかじゃないのに……。


小川さんを断る口実に使われただけだ。


矢代くん、わたしとつきあう気なんて、ちっともないくせに、ひどいよ。


こんなことならさっさと帰っとけばよかった。


存在感のないつまんない子のポジションで全然よかった。




「純太の彼女なんだって?」
「あいつ、わがままだけど、よろしくな」


空気を察してか、そんな声をかけてくれる男子もいたけれど、どんな顔をすればいいのかわからない。


だって彼女じゃないんだもん。


真赤になって小さく首を横に振り、下を向いて固まっていた。




早く帰ろう。泣きそうだ……。


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