今夜、きみの手に触れさせて


「アイス食う?」


繋いでいた手が少し引っぱられ、ふいに矢代くんが立ち止まった。




気がつくとそこはコンビニの前で、涼やかな瞳がわたしの顔を覗き込んでいる。


「あ、え?」


やっぱり遠慮のないその目にドキッとして、何を聞かれたのか、一瞬わからなかった。



そうしてやっぱり返事を待たずに、矢代くんは店内へと入っていく。


引っぱられるままについていくと、彼はアイスのショーケースの前で、やっとわたしの手を離した。




「オレ、これ」


そうして矢代くんは即決でソーダ味のガリガリしたアイスバーを掴むと、こっちを見る。


お前は?って聞く代わりに、首を傾げて人の目の中を覗き込む。




う……。目でしゃべるのやめてほしい。


ドキドキするもん。


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