モテるんは俺の趣味やっ!
一気にまくし立ててやると、たっちゃんは唇を尖らせて、涙を拭う仕草をしてみせた。







「うわぁ、ひどー。えげつなー。


愛が足りひん、愛が足りひんぞ!


ミサキちゃん、ボクを愛して〜」







「やめんかい、吐きそうやわ」







冷ややかに告げると、たっちゃんはマイクを持つふりをして、泣きそうな顔で懐かしの名曲を歌い出した。







「♪愛をください〜、うぉう、うぉう!


愛をください〜、ZOO〜」







「………ネタが古いっちゅうねん。


野いちご読者の平均年齢わかっとるん?」







「ほな、あれやな。


♪あいうぉんちゅ〜、あいに〜じゅ〜


これならどや!!」







「世代は正解やけどキモいから減点やな」







それを聞いたたっちゃんが、この世の終わりみたいに青ざめる。







「減点法なん!? 聞いてへんで!!」








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