モテるんは俺の趣味やっ!
「あっ、ミサキ!!」







あたしが真っ直ぐにたっちゃんのもとへ向かっていると、たっちゃんはすぐに気づいて、あたしより先に声をかけてきた。




頭の上でぶんぶんと両手を振りながらね。




めちゃめちゃ周りから見られとるやん。





こっちまで悪目立ちするから、やめてほしいわ。







「おーい、ミサキー!!


ここ、ここっ!!


愛しのたっちゃんは、ここやでー!!」







たっちゃんの前に着いて、あたしは大げさに溜め息を吐き出した。







「………いちいちじゃかあしわ、あほ。


そない大声で叫ばんでも聞こえとるっちゅうねん。


そもそも愛しくないっちゅうねん」







「あっ、また愛の無い発言ー!!


ぶー、愛の無い発言、ぶっぶー!!」







たっちゃんはぶーぶー言いながら、顔の前で両手をクロスさせ、大きなばってんを作る。




他の人が見たら「かわいー!」と叫ぶであろう仕草を、軽く受け流して、あたしは容赦なくたっちゃんを一刀両断する。







「知るか、無いもんは無いねん。


無い愛は絞り出されへんっちゅうねん。


愛が無いから、愛の無い発言をするっちゅうだけのことや」






「んもー、ミサキったら、照れ屋さん♪」






「きもいきもいきもい、音符きもい」







周囲から突き刺すように浴びせられる視線から逃れるように、あたしはたっちゃんの手を引いてすたすたと歩き出した。







「いけずー!!」







たっちゃんの悲愴な叫びは、もちろん無視する。







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