憂鬱なソネット
今思い出しても呆れ返ってしまう、瀟洒なホテルの真ん中を柔道着が横切る異様な光景。





こんな変人こっちからお断りだ!と憤慨していたけど。





………気がついたら、あたしはその見合い相手ーーー寅吉と向かい合って、何だかいい雰囲気で微笑んでいたのだ。





そしてホテルを飛び出したあたしたちは、真昼間にコンビニで大量のお酒を買い込み、河川敷で並んで飲みまくった。





すごく楽しかった。



あたしは寅吉と、これから良い関係を築いていく予感がしていた。





………それなのに。




以降三ヶ月間、寅吉からは一度も連絡がなかった。




なんなのよ!


いい感じだと思ったのは、あたしだけだったってこと!?


悔しい!


あんまり悔しいから、こっちから連絡してやる気にもならない!


もう寅吉のことは忘れよう!




………と思っていた今日この頃。




いま突然、寅吉が目の前に現れたのだ。




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