憂鬱なソネット
階段を下りて、憐れむような視線を向けてくるお父さんとお母さんに一言「行ってきます」と声をかけ、あたしは玄関で靴を履いた。





そのとき。






ーーーピンポーン





チャイムがなり、あたしは顔を上げた。





こんな時間に、誰?



巧はまだ帰らないだろうし、なにより鍵を持ってるはず。




あ、宅配便かな………





そんなことを思いつつ、「はーい」と応えてドアを開くと。







「ーーーえっ。と、寅吉!?」






「………はぁっ、はぁっ。


あ、あやめさん……こん、ばんは………」







寅吉が現れた。




なぜだかたいそう呼吸が乱れていて、ぜえぜえと肩で息をしている。





そして、いつも以上にぼさぼさに乱れた頭で、よれよれのYシャツに、ストライプのネクタイ、黒いスーツを着ている。





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