憂鬱なソネット
*
「あの、お父さん、お母さん」
温かいお茶をのんで一服したところで、唐突に寅吉が、膝の上に両手を揃えた。
なになに、改まって?
お父さんとお母さんも不思議そうな顔をしている。
みんなの注目を一身に集めつつ、寅吉が放った言葉は。
「あやめさんを下さい!」
……………へっ??
お父さんとお母さんとあたしの目が、そろって点になる。
なんか今、寅吉、すごいこと言わなかった?
「………あの、なんて?」
あたしが訊き返すと、寅吉はまっすぐにお父さんとお母さんを見つめながら、はっきりと言った。
「あやめさんを俺にください!
絶対に幸せになります!!」