憂鬱なソネット








「あの、お父さん、お母さん」





温かいお茶をのんで一服したところで、唐突に寅吉が、膝の上に両手を揃えた。




なになに、改まって?





お父さんとお母さんも不思議そうな顔をしている。





みんなの注目を一身に集めつつ、寅吉が放った言葉は。






「あやめさんを下さい!」



















……………へっ??







お父さんとお母さんとあたしの目が、そろって点になる。






なんか今、寅吉、すごいこと言わなかった?







「………あの、なんて?」






あたしが訊き返すと、寅吉はまっすぐにお父さんとお母さんを見つめながら、はっきりと言った。







「あやめさんを俺にください!

絶対に幸せになります!!」







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