憂鬱なソネット
「とりあえず、シルエットだけでも寅吉っぽくしなきゃ」



「そうね、うちの親戚に巧だってばれたら意味がないもの」



「じゃあ、なるべく顔を隠せるように………」



「寅吉くんは髪が長いから、どちらにせよカツラが必要だな」



「お父さん、グッドアイディア! カツラで顔かくせばいいんだ!」



「でも、カツラなんてあるわけ………」




そこで、一同の目が、あたしの頭のあたりに集まった。



え? と首を傾げて、あたしは反射的に鏡を見る。




そこには、きれいにセットされ、花飾りなどのついた髪。



あたしの髪は、結い上げるには短すぎたので、数箇所にポイントウィッグを使って、華やかなウェディングスタイルにしてある。



………あ。




「ウィッグか!!」





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