この思いを迷宮に捧ぐ
「俺を好きになって」
夜に、明日の執務用の資料に目を通す千砂を見ていたら、そう言葉にしてしまった。
思わずこぼれた言葉に、翠は自分が何らかの限界点に来たことを自覚した。
昼間の千砂のああいう怒り方が、分け隔てのない優しさに繋がっているように見えて、やっぱり好きだと思う。
「もう嫌いじゃないけど...」
その千砂は、やや困惑気味にそう答える。
まるで目に見えそうなほどの温度差。
わかってはいたものの、前は嫌いだったのかよと、翠はがっかりする。