それでも僕は君を離さないⅡ
二人でまた笑い合えるとは思ってなかった。

俺は言葉に気をつけて話すように心掛けた。

検査医としてラボにいることを伝えた。

「私の記憶がところどころ途切れているのは自分でもわかります。」

「そうか、ツラくない?」

「戸惑いますけど、それが私だから。」

「これからは俺がそばにいる。もう離れない。」

「先輩こそ大丈夫ですか?」

「奈々が俺から離れないと約束してくれたら大丈夫だ。」

「先輩ってそんなにロマンチストでしたか?何だかくすぐったいです。」

「俺は君にだけ甘くなれるんだ。」

「本当に?」

「今夜確かめてもいいよ。」

「とても大胆な発言ですね。」

「君にしか言えないセリフだ。」

「ますますステキです。」

俺は奈々を丸ごと愛した。

彼女は俺の腕の中にいた。

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