それでも僕は君を離さないⅡ
「人間の心理とは一言では語り尽くせないものなんだよ。おまえの言ってることはわくが大きすぎる。もっと範囲をせばめて言いなさい。」

「せばめてと言われても。」

「それは男性か女性かにもよる。」

「女性だ。」

「ほう。女か。どういう理由で記憶が途切れたんだ?」

「事故で意識を失ったんだ。」

「人間の記憶を解明するのは非常に難しい。脳や精神がどういうものなのかを追求することは一生かけても足りないくらいの途方もない時間が必要だ。」

「そういうことはいいから、どういう心理状態か知りたいんだ。」

「正確にはその女をわかっていたい、だろ?」

「うん、まあそういうことになるかな。」

「彼女か?」

「うん。」

「さて、まずおまえができることを簡潔に教えてやろう。」

「うん、頼む。」

俺は親父の言葉に真剣に聞き入った。

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