夢想い~キミオモイ~
「でもどうして先生になりたいの?」
その質問に信璃は口ごもった。
ベンチから立ち上がり、枝垂桜に手をかける。
ポキッとその桜の枝を折った。
くるくると回しながらゆっくりとしゃべり始めた。
「俺・・・一人の夢を叶えられなかったんだよ」
『夢を叶えられなかった』
その言葉に胸がズキッと痛んだ。
スゥッと深呼吸し口を開く。
少し悲しんだ目でゆっくりと話し始めた。
「俺さ、何年か前にすっげぇ親友がいたんだよ。小さい頃から仲が良くていっつも悪さばっかしてた」
桜の花びらが信璃の体を包んだ。
綺麗に見えたけど素直に素敵と言えなかった。
「そいつにはデケェ夢あっていつも努力してたんだ。だからもう少しで届きそうになった。でも・・・」