絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
妖精先生の休日は、週に一日だけある。

教師たちはその日、校内にしつらえられた官舎という名の豪邸でのんびりする者もあれば、街に繰り出す者、実家に帰る者とさまざまである。

週に一日という休日は、基本的に週に二日あるほかの職業に比べれば少ないが、その分給料はずばぬけて高い。一年もまじめに働けば、帝都の一等地に家一軒が建つだろう。

そんな少ないある休日の一日。

シルフィはまたしてもこっそり妖精たちの寮を訪問していた。

「来ちゃったよ♪」

ファイツの「部屋」に屈み込み、羊皮紙を差し出すと、ファイツは怒りもあらわに何かを書きなぐってよこした。

『何の用だ』

なぜかシルフィも、にこにこしながら羊皮紙に返事を書く。

『遊びに来ちゃだめかな?』

『だめに決まってるだろ、お前なんか大っ嫌いなんだから』

声もなく会話する二人を、周りの妖精たちが怪訝そうに見ている。

『先生は好きだよ! ファイツが大好き!』

ファイツはしばし驚いたように羊皮紙の文字をみつめていたが、すぐにふんと鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
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