月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】


「それは、きついね……」



「うん。きつい。兄貴以外の誰がどうなっても知ったこっちゃないけど、兄貴の願いは叶えてやりたいとか思っちゃう。

兄貴にお願いされたら、俺、断り切れない……」



「………」



「それで、あんとき山の中に逃げた。ただ、あの家から離れたかった……」



「……麗音」



「名前も」
 



遮るように、少し険しい声音だった。




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