月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
「多透、今だ。じいさま少しフリーズするから」
涼音が多透にささやく。
涼音は口が廻る方で、それは祖母譲りだ。
涼音のそれはまだ祖母レベルまで達していないが、景周は女房にいつも言い負ける。
涼音はその雰囲気も受け継いでいた。
多透が唇を噛んだ。
そして床に指をつく。
「師匠! すみませんでした」
「……何がすまなかった」
やや復活した景周は静かな声で応じる。