愛してるの一言で。

「...............こくれば?」


「.........は?」


「こくれば?」


「またその話?やめてよ、もう」


花咲は照れたような...いや、
嫌そうな顔をした。


「誰?俺らと同じ学校のやつ?」


「ううん、兄よ」


「.....................?」


「............兄」


「あに?って...お兄ちゃんとか
そういう感じの?
いや、違うか!アニって名前か?
そんなやついたっけ?ん~...」


「ばか。お兄ちゃんとかそういう感じのほう。」


「........................まじで!?」


ガタガタっ!!

俺は思わず席を立ってしまった。
そして身を乗り出して「まじで...?」ともう一度聞き返した。


「まじ。
実の兄じゃないけどね。」


「..................ま、まじか.........
すげえな...............頑張れ............」


「なにその、引きっぷり。
うざいんですけど!」


「いや...だって...
頑張れとしか言えねえし..............」


「ま、だから、告るなんてそんな
軽薄な事できるわけないでしょ?
わかった?この話はもう終わり。
叶うわけないんだから、コクったって。」


花咲は笑ってたが
悲しげだった。


「わかんねえじゃん。
叶うとか叶わねえとか
言ってみねえと...」


「...わかるよ。
だってお兄ちゃん結婚してる」


「!.........」


思わず息を呑んだ。
かける言葉がない。


「かける言葉なんて考えなくていい。
仕方ないことだからね。
ね、告白なんて馬鹿げたこと出来ないっていうのはこれが理由。」


「そっか...」


「そうよ」


「俺でよかったら
相談乗る...から.........さ」


これしか言う言葉が無かった。

かける言葉なんてかんがえなくていいと
言われたが、そのまんま
従うのは男がすたる、そんな気がしたんだ。


「...ありがと」


「おう...」


「ねえ、じゃあ...聞くけど...
妹と二人で出かけるのって不自然じゃない?
妹から誘うのって不自然じゃない?」


今度は花咲が身を乗り出して
聞いてきた。


「あったりまえだろ、
妹だぞ、そんな意識しねえよ。」


「そ、そうなの...よかった!
じゃあ、誘ってみようかな...っ」


「うん、そーしろよ」


「ふ、服...服どうしよう
ワンピース?スカート?ショーパン?
キュロット?デニム?何がイーかな?」


「いや、わかんねえよ...
そんな女のことなんて」


「えー...えー...なによう。
相談乗ってくれるんじゃなかったの?」


「乗るけど...それは専門外です。」


「ふん。なら買い物付き合ってよ」


「はあ?買い物?」


花咲はニコリと笑って
俺の目をがっちりとみた。


「協力してくれるんでしょ?
いいよね?一日くらい。」


「まあ...いいけど」


「そ♪じゃあ、これメアドね。それと携番。あ、それとLINEのIDね。」


そういうと花咲はサラサラと
メモに番号をつづって
俺にそのメモを渡した。



「じゃ、あたしもう帰るね。バイバイ」




そうして花咲は店を出た。


まるで嵐のようだった...
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