五つの顔を持つ私



普通、席替えくらいでどうってことないと思うだろう。

私だって席替えの話を聞いたときはそうだった。

問題は席順。

新しい私の席は窓側の一番後ろだった。

そこまではまだいい。

良くないのは、私の周りの席が全国No.1の龍神の幹部達だってことだ。

はぁ、さいあく…。

「…」

さっきからずっと睨まれてるし…。

私が何をしたっていうのよ…。

「あの…、なにか…?」

重苦しい沈黙に耐えられなくなり、たまらず口を開いたのは私。

「話しかけんな、ブス」

「…すいません」

じゃあ、見んじゃねぇよ。

そう言いたかったけど、なんとか飲み込んだ。

「あ~あ、なんでこんな存在感が薄い地味子と席が近いんだろ…。ついてない」

散々な言い様だな私。

こっちだって好きで席近くになったんじゃないし。

くじで負けたんだよ。仕方ないだろ。

なんて言う訳にもいかず、イライラが積る。

「チッ」

思わず舌打ちしてしまった。

「あ゛?」

あ、やべ。

見逃すはずがなかった…。

「てめえ今舌打ちしたか?」

しまったぁ…。ここはなんとしてでも切り抜けなければ。

「そ、そんな!!空耳ではありませんか?」

「あ゛?ンだと?」

あり…?逆に逆撫でした…?

「お前生意気だな。ちょっと放課後倉庫来いや」

「おい!!潤!!」

「大丈夫だ。あいつに合わせるだけだから」

げ…。

席替え早々早くも龍神の皆様に目をつけられてしまったようです…。

それにしても、“あいつ”って誰だろ?



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