絶対王子は、ご機嫌ななめ

  揺らぐ気持ち


「ここに座れ」

そう言って政宗さんがトントンと叩いたのは、ソファーの政宗さんの隣。でも真横には抵抗があって一人分空けて座ると、政宗さんが呆れたように苦笑した。

「何か警戒してるのか?」

「そういうわけではありませんけど……」

「じゃあ何?」

「どうしても、円歌ちゃんのことが気になってしまって」

「まだ言うか? 円歌には、俺の家にいることを知らせなければいいって言ってただろ?」

「そうですけど。でもそれが後でバレたら、円歌ちゃんどんな思いするか……」

円歌ちゃんに、悲しい思いをさせる訳にはいかない。でももうキスしちゃってるんだから、裏切ってるようなものなんだけど……。

私からしたわけじゃなくても、二度もキスしてしまって、どう言い訳すればいいのか。
なんて悩んでいるのは私だけみたいで、政宗さんは一人分開いていた距離を縮めると、少し俯きがちな私の顔を覗きこんだ。

「なあ、なんでそんな泣きそうな顔をする。円歌はおまえがここに泊まったことを知っても、どうってことないと思うぞ?」

「そんなこと、どうして分かるんですか? 政宗さんは男だから、女の気持ちなんて分かんないんですよ!」

「そ、そうなのか? そうかもしれないな、悪かった。じゃあ先に伝えておけばいいんじゃないか? そうしたら円歌も安心だろう」

安心……。円歌ちゃんはさっぱりとした性格をしてるから、そのほうがきっといい。どうせ帰るって言ったって帰してもらえないんだからそうする他ないのかもしれないと、政宗さんの顔を見た。



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