絶対王子は、ご機嫌ななめ

バスタオルでもう一度身体を拭くと、政宗さんに買ってもらった下着を付け真新しいパジャマに袖を通す。そして鏡の前に立ちクルッと一回転すると、うんとひとつ頷いた。

「なかなか似合ってるんじゃない?」

パジャマなんて誰が着たって同じ。大した変わりはない。だけど、政宗さんに買ってもらったというだけで、いつもの自分と違って見えた。

何舞い上がっちゃってるの、私。

そんな姿が可笑しくて鏡の中の自分に向かいクスッと笑うと、シャワーを浴びてさっぱりしたせいもあるのか少しだけ心が和らいでいる自分に気づく。

緊張が解けたわけではないけれど、少しは自分の気持ちを表に出してもいい? そんな気にさえなってしまう。

政宗さんに『好き』と伝えたい。それが叶わぬ恋だと分かっていても。

でも出来ない。そんなことをしたら、今までみたいに政宗さんの近くにはいれなくなってしまう。

だったら今のままでいい。政宗さんの彼女にはなれないけれど……。

「そういうことで、よろしく」

鏡の中の自分に言い聞かせると、笑顔でリビングに向った。



< 112 / 222 >

この作品をシェア

pagetop