絶対王子は、ご機嫌ななめ

「私は大丈夫ですから、政宗さんは仕事に言って下さいね」

「何を言ってる。柚子おまえは俺の言ったことをちゃんと聞いてたのか? 今日は休みと言ったら休みだ。つべこべ言わずにさっさと寝ろ」

「でも……」

まだ五時と知って、寝たいのはやまやまなんだけど。この状態ではちょっと……。

言いたいことだけ言って気が済んだのか、政宗さんはもう目を瞑っている。なぜだか、さっきまでよりも私の身体を抱き寄せて。

もしかして寝ぼけてて、私を円歌ちゃんと間違えてる?

でもさっき『柚子おまえ……』と私の名前を呼んでいたから、その可能性は低いわけで。

じゃあ誰か分かってて抱きしめてるっていうこと?

だとしたら、男として最低なわけで……。

あぁーーー!! もう一体、どうしたらいいのよっ!!

こんなことイケないって分かってる。だけど身体は誠に正直で。困っているようで、実はそれほど困っていなかったりする。

本当に困っていて嫌だったなら突き飛ばすことだってできるのに、それをしないのは……。

“好きな人に抱かれて眠るのは、とてつもなく気持ちがいい”

と言うこと──



< 126 / 222 >

この作品をシェア

pagetop