絶対王子は、ご機嫌ななめ

どこがどうやってどうなると、付き合ってるなんてことになるの?

まさか政宗さんが私と付き合ってるつもりだったなんて思ってもみなかったから、口をぽかんと開けたまましばし政宗さんの顔を見つめてしまう。

「その顔は、やっぱり気づいてなかったよな。ごめん」

え? あの政宗さんが謝った? 嘘でしょ!?

今日はなんという日だろう。

本当は試合が終わってから、政宗さんに告白しようと思っていたのに。

いきなり拉致されるわ、優しいキスをしてくるわ。抱きしめられて政宗さんからの告白を受けるやらで、私の中のキャパシティはもうパンパン。

でも“嬉しい“の三文字が胸の中にふつふつ沸き上がってくると、止まっていた涙がポロリと目尻からこぼれ落ちる。

「この大会、必ず優勝を決めてやる。自分のためにも、おまえのためにもな。だから最後まで待ってろ」

「言われなくても待ってます」

我ながら可愛くない言い草に、政宗さんから目を逸らす。

でも、どれもこれも全部政宗さんが悪い。『ごめん』と謝った時は驚くほどしおらしかったのに、最後はやっぱりいつもの偉そうな政宗さんなんだから。



< 174 / 222 >

この作品をシェア

pagetop