絶対王子は、ご機嫌ななめ

「えっと、あの~おふたりさん? こんなところで、いつまで抱き合ってるつもりですか?」

あぁ! そうだった!!

いきなり現実に引き戻されて、慌てて政宗さんから離れた。

「政宗さん、戻ったほうがいいんじゃないですか?」

「わかってる。おい智之! 柚子にちょっかい出すなよ、わかったな?」

私への返事もそぞろに政宗さんは智之さんにそう言うと、私の頭をポンッとひと叩きしてからグリーン上に戻っていった。

「ちょっかいって……」

ニヤけた顔のまま、政宗さんが手を乗せた頭を左手で撫でてみる。

男の人から頭をポンポンされるのが嬉しいっていう女性が多いと、聞いたことがあるけれど。

うん、これって悪くない。

子供扱いされてる?って感じもしなくもないけれど、八歳も歳の差があるんだからそれはそれでしょうがない。

でもこれからは、ちょっとだけ背伸びしてみるのもいいかもしれない。

無理のない“背伸び“を──

政宗さんの隣が、少しでも似合う女性になるために。



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