絶対王子は、ご機嫌ななめ

「政宗さん。私はあなたのことが、す……」

「……?」

「す……す……すごく変わり者で、手に負えない面倒くさい人だなぁ~とか思っています」

あぁー、何言ってんの私。ホントなんて馬鹿なんだろう。

告白するつもりが、なんで腹の奥底で思っていることを言っちゃうかなぁ。こんなこと、全然言うつもりじゃなかったのに……。

ほら、政宗さんの眉間にしわが寄ってるじゃない。あの顔は、絶対に怒ってるよね?

自分で言ったことをごまかすように、ニコッと愛想笑いしてみる。

「へぇ~。柚子って俺のこと、そんな風に思ってたわけだ?」

愛想笑い作戦、失敗。

どうしよう。まだ食事はこれからなんだよ? なのにこの雰囲気。

個室でふたりっきりなのに、どうしたらいいの?

円歌ちゃん、助けてー!!

心の中でそう叫んでも、当たり前のことながら円歌ちゃんが助けに来てくれることはなくて。

政宗さんからの冷たい視線を浴びながら、豪華な料理を食べることとなってしまった。



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