悪魔の目
「……。」

まさか4歳児の口から、殺される、の5文字が出てくるなんて、考えてもいなかったのだろう。斗真お兄ちゃんはしきりに顔を曇らせる。

「三島っていう男だよ。僕の先生さ。」

「三島って、優太の担任の三島先生かい?三島先生に何か嫌な事でも言われたの?」

「斗真お兄ちゃんなら、信じてくれると思ってるから話すけど、僕は1度死んだんだ。」

「うん。」

「だから、僕は未来の事を知っている。」

「じゃあ、俺はどうなるんだい?」

「それは…。」

僕は斗真お兄ちゃんの事を覚えていなかった。記憶が幼すぎたのか、斗真お兄ちゃんの存在さえ覚えていないのだ。

「まあいいさ、問題を解きながら、話を続けてくれ。」

斗真お兄ちゃんは呆れた様子で、話半分で僕の話を聞いているようだった。

「母さんは、確か骨折をするんだ。」

「骨折?」

「うん。確か右腕を団地の階段から落ちて、骨折する。多分骨折させた犯人も、きっと三島なはずなんだ。それで、わざとらしく三島が母さんにお見舞いに来たんだと思う。でも僕は入園式で、新しい入った幼稚園生のお手伝いをしなくちゃ行けなくて、その日は幼稚園に行かなくちゃ行けなくて…。」

僕は今にも泣きそうだ。

「おいおい、大丈夫かよ。」

「いいから、僕の話を聞いて。」

「お、おう…。」

「僕が家に帰った時には、母さんは殺されていた。何度も何度も刺されて…。」

「…話がなんだかリアルだなあ。その三島って奴はどんな奴なんだい?」

僕は三島の特徴や性格、癖を身振り手振りを使って斗真お兄ちゃんに教えた。
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