ミク。
波音を聞きながら岬の先端にしゃがみ込んでいると、辺りはいつの間にか暗くなっていたが、そんな事に気付く余裕は無くて、彼がいつ頃帰って来て傍に来たのかも全く気付いてはいなかった。

『なんだ?こんな所で』

「ブラック……」

『ただいま。フィン』

「……………っッ…う‥‥‥!!」

わぁっと大声をあげて泣き出した私を子供かッ!?と言って仰天しつつ優しく抱き寄せてくれて、長い髪を甘やかすように撫でてくれた。だからなのか?身体中が彼に触れられている所を中心に温かくなって、涙も少しずつ止まってきた。
だから、確信する。

「申し訳ありません!主様……誠に申し訳ありませんっ‥‥‥!」

彼が、好きなのだ。この過去に来て出会ってから今日まで過ごして来た日々がどれくらいの日数なのか記憶を取る事も忘れていたくらい、自分がロボットだという感覚がすっかり薄れてしまっていたくらい、体内の遺伝子保存タンクに蓄積された彼の欠片を抹消したくないと強く願ってしまうくらい彼が…ブラックの事が、好き。

「私、どんな罰でも受けます!廃棄工場送りでも良い!でも…遺伝子を全て抹消しろなんて恐ろしい事だけは言わないで下さい!」
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