今日も君に翻弄される。
冷たい指先が通ると、熱い体に気持ちいい。


静かな眼差しが熱さに溶けて、見つめるとちょっぴり恥ずかしかった。


ごそごそ鞄を探り、コンビニの袋を取り出して、薬を渡してくれる。 


「水汲んでくる。箱開けてて」

「うん」


枕元に置いていた、飲んだ後放置していたコップを取り上げて、お水を持ってきてくれた。


飲み終わって一息つく。


ごそり、緩慢にベッドに潜り込もうとしたところで。


背中を倒すわたしの動きを止めた、和泉くん。


「はい、アイス」

「え?」


ぼうっとしていたわたしに、いたずらっぽく冷たいそれを押しつけた。


「何で、……さては和泉くん、ずるいな!?」


和泉くんのおやつ決めるの手伝ってって言ってたのに。


わたしのおやつ買ってくれるために、方便を言ったに違いないよ……!


「買ったのは僕のだよ。葵のはついで」


しゃあしゃあとあしらう和泉くん。


「嘘だ、絶対わたしの好み聞いてた!」


憤慨するわたし。


「そうかもしれないけど、じゃあたとえばそうだとして、葵は僕とアイス食べたくないの?」


ぐっ、と詰まる。
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