今日も君に翻弄される。
しかし後輩さん、諦めない。


質問を変えてくる。


「お互いどこが好きなんですか?」


冷やかしに、和泉くんがものすごーく冷たい目をした。


慌てて答える。


答えてしまえば和泉くんだって文句を言えない。


「全部です!」

「…………」


怖いよ和泉くん!?


冷たい目はわたしにも向いたけど、き、気に、気にするもんか。


ぷるぷるしつつ何とか耐える。


和泉くんは、人を楽々怪我させられそうな眼光を携えて呟いた。


「性格」

「…………」


和泉くん。

この表情で性格とか言われると、あの。


アホで馬鹿で残念なところがしょうがないけどまあいいやつだ、


みたいな意味合いになりそうだと思うのは、わたしだけかな。


「具体的に言うと!」


ちなみに、後輩さんはずっとわたしの方を向いている。


和泉くんには聞かない辺り、賢い選択だと思う。


「優しいところとかです」

「かっこいいとことか?」

「はい」


頷くと、和泉くんを横目で確認して、勇気ある後輩さんが膨れた。


「……先輩照れませんね」

「別に。葵はよくどこが好きとか言ってくれるから」


くれるって直してくれるのは、ちょっと素直に嬉しい。


「あ、こういうところも好きです!」

「うるさいよ」


阿呆丸出し、和泉くん大好きなのも丸出しなわたしを、照れたようにちょこっとにらんで。


ぽん、というよりはぐしゃぐしゃと、頑張って整えたわたしの髪をほんの少し崩した。
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