今日も君に翻弄される。
わたしの涙目を、そっけない和泉くんの冷静な目が見返す。


「これは僕のだよ、初めから」

「だってだって、あの流れ、くれるんじゃないの!?」


「くれるんじゃないと、普通、いる? なんて聞かないでしょ、だから期待したのにひどいと思うよ!」


そう意見すると、


「ああ、なるほど」


と頷いて、やっと騒ぐわたしに合点がいったようで。


「じゃあ」

「誰もそんな約束してない」


でも、合点がいったにもかかわらず冷淡だ。


「えー……」


盛大に抗議の声を上げていると、和泉くんがもう一つ取り出した。


「あ、それ欲しいです和泉くん!」

「嫌だ。あげない」

「…………」


ならば奪うまで!


諦めないんだからね!


などと、一昔前の悪役のような台詞を吐きつつ、和泉くんに手を伸ばした。
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