名前を教えてあげる。


セックスは時々した。
でも、終わった途端、ピロートークもなく、慌ただしく衣類を身につけ別の世界に行ってしまう順に美緒は置いてきぼりを食らったような気分になるのだった。




哲平にメールをする決意をしたのは年が明けてから、1週間が経った頃だった。



宛先 星野哲平
件名 あけおめです★彡


ことよろ(^∇^)
こないだは変なこと言ってしまいました。ごめんなさい…
またライブに行きたいなっ♪
誘って下さい(*☻-☻*)

みお




夜11時過ぎに打ったメール文。
単なる挨拶だ。

もう寝ているかもしれない。気が付いても、そのまま放置するかもしれない。


返事は期待しちゃだめ……

そんな気持ちで送信ボタンを押した。

トイレに行き、部屋に戻ると美緒の携帯が布団の上でバイブ音を立てていた。


哲平からメールだった。



おめでとう。ライブは来週の金曜にあるよ。
行くなら、仕事帰りなので、バイクで迎えに行きます。




(やったあああああ!)

予想以上の嬉しい展開に
美緒は、携帯を胸に抱いて身悶えした。


「哲平に逢えるんだあ…」


つい声に出してしまったあとに、ハッとして口を塞ぎ、布団の中に潜り込んだ。




< 243 / 459 >

この作品をシェア

pagetop