恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
「考えてたよ! 由宇の仕事の邪魔になるような事、したくないし……。
由宇の事、犬だとかもう言われたくないから」
「後輩として私に敬語を使ってひれ伏す由宇を見たかったっていうのも少しあるけど」と付け足すと、苦笑いされた後、痛くない強さでおでこを弾かれた。
「俺はおまえと違って仕事できるだろーし何の問題もない」
そう言いのける由宇は自信たっぷりだし、実際由宇の事だからそうなるんだとも思う。
営業部だとか、成績がでるところにいったらきっといつもトップ争いだとかそういう、優れた人材だ。
だけど、私の心配はそんなの関係なく発動するんだから仕方ない。
「だとしても、私が心配する事を、うるせーとかそういう風に言って欲しくなかったの」
「ああ……まぁ、あれは……」
「由宇だって私の事心配して今みたいに怒鳴るくらい怒るんだから、私だって由宇の事心配したっていいハズじゃない。
なのに、私ばっかうるせーって言われて不公平でしょ。だから由宇が悪い。謝って」
強い口調の私に、由宇がまた少し顔を歪めて反論しようとするから、それを手で塞いで睨むようにして由宇を見た。
「仲直りしたいから、謝って。
……チョコもあげるから」
少しそのまま見つめてから手を離すと、由宇がはっと顔を歪めて笑う。