恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―


「あれだけモテる星崎さんにやきもち焼かないって少しおかしい気がするんだけど……。
姫川、本当に星崎さんが好きなの?」
「え……」

今まで考えた事もない疑問を投げかけられて答えに詰まる。

「好きならやきもち焼くものなんですか?」
「私の知る限りでは、度を超えて嫉妬深いだとか、逆に淡泊だとかはあるけど、10年も一緒にいてまったく焼かないっていうのはかなり少ないし、ないに等しい気がするんだけど……。
ツンデレカップルどころか、ツンツンカップルとかでさえ焼く事はあると思うよ」
「そうなんですか……」
「分からないけどね。姫川みたいなレアケースもあるんだろうし。
まぁ幸せならそれでいいんじゃない? 仲いいんでしょ?」
「仲はまぁ……」
「マンネリ気味だとか今の関係に不満があるだとか、そういうのもないなら今のままでいいんじゃない?」

マンネリ……聞いた事がある。
確かこう、一緒にいる時間がたくさん経つにつれて、刺激がなくなってきて関係がつまらないモノに感じちゃうだとかそんな感じだった。

由宇と一緒に過ごす事はもう当たり前すぎて特に退屈だとかを感じた事はなかったけど……どうなんだろう。
一緒にいる時間だけは多分、どのカップルよりも多いしマンネリとかなってもおかしくない気がするけど……。

広兼さんからの問題提起に、なんだかもやもやしながらファミレスでのランチを終えた。



< 73 / 214 >

この作品をシェア

pagetop