グッバイ・メロディー



きょうは日勤だった清枝ちゃんが夕食どきに帰宅してくると、こうちゃんがすぐに事情を説明し、ヒロくんは正式にしばらく瀬名家で生活する運びとなった。


同じ中学校区だから通学に困ることもないしいいんじゃない、という軽い返事が息子とよく似ている。

そしてそのあとでヒロくんの家族を安心させるためにこっそり半田家に連絡を入れちゃうあたりが、さすがこうちゃんを育てた母親だなって。


兄からこうちゃんのスマホに連絡があったのは、ちょうど弟がお風呂から出てきたときだった。


絶対に出なくていいとヒロくんは断固拒否したけど、こうちゃんはかまわず通話ボタンを押した。

でもきょうはスピーカーホンにはせず、そのまま黙ってベランダに出てしまった。


「……季沙さんって、毎日こんな時間まで洸介さんの部屋にいるんですか」


無口な男の子とふたりきりでなにを話そうかと悩んでいたら、意外にも話題を提供してくれたのはその男子のほうだった。


テレビの横に置いてあるデジタル時計が表示しているのは、22時14分。

いつもごはんを食べて、お風呂に入ったら、日付が変わるまでここで過ごすこともあるから、時間はあまり気に留めていなかった。

きょうはヒロくんがいるからお風呂はまだだけど。


いつも、お風呂だけはだいたい自分ちで済ませる。

そのまま自分の部屋で寝ることもあるけど、最近はよくこうちゃんちでいっしょに過ごしている気がする。

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