グッバイ・メロディー


引っぱるみたいにして部屋まで連れて帰ると、ほぼ強制的に、そのままベッドに引きずりこまれた。


「ちょっと、こうちゃんっ」

「季沙、あったかい」


完全に寝ぼけていらっしゃる。


もう小さいころとは違うんだよ、と何回も言っているのに、こうちゃんはこうして時たまわたしを抱き枕にすることをやめてくれない。

少しだけ低いこうちゃんの体温に、少しだけ高いわたしの体温が、妙にマッチするせいかな。


「新年早々いっしょに寝るの?」

「だめ?」

「ダメって言っても聞かないくせに。こうちゃん、すねるくせに」


ねぼすけさんが少し笑い、抱き枕の幼なじみを包みこむ腕にぎゅっと力を入れる。

静かに目を閉じれば、優しい鼓動の音と、やわらかいにおいだけが布団の内側に残った。


「こうちゃん」

「ん?」


ねえ、わたしたちはいつまで、こうしていられるんだろうね。


「なんでもないよ」


できるなら、いつまでも、こうしていたい。

世界一安心できるこの場所で、こうちゃんがくれる甘い夢だけを、ずっと見ていられたらいいのにな。




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