シオン【完結】
「お願い、祥君!」
「何で嘘ついたんだよ!」
祥太郎は久美を睨みつけると、そう言った。
久美はその視線に怯む。
だけど、カバンから何かを出すとそれを思いっきり祥太郎に投げつけた。
「いたっ」
それは祥太郎の頭に命中した。
……昨日、買った祥太郎への誕生日プレゼント。
あれから自分で包装したのか、昨日見た包みとは違っているそれ。
自分にぶつかった物の正体を見て、祥太郎の腕がふっと緩むのがわかった。
「祥君とっ、仲良しだから!遼佑が、仲良しだから!」
久美はスカートをぎゅうっと握り締めて、涙を堪えながら必死に祥太郎に伝えようとする。
「たん、じょうび、プレゼン、ト!」
何度も何度も途切れながら、久美はそれでも喋るのを止めなかった。
呆然と、祥太郎がその包みを見つめる。
「私と遼佑がっ、嘘、確かについたけどっ、でも、私が好きなのは、祥君だけ!
もうっ、知らない!!!」
久美はそう言うと、後ろを向いて走り出した。