シオン【完結】

冷え切った私の手を握ったら自分が寒いだろうに。
遼佑は嫌な顔一つ見せない。


「あ、あっち。少し人だかり出来てるな」

「本当だ」


クリスマスだからって、路上でパフォーマンスをする人がいるらしくって、私達はそれを見た。
ピエロが愉快そうに、ジャグリングをして、人々を湧かせている。


「凄いね」

「ああ」


その間も、私と遼佑の手は離れない。


「もう終わりだね」

「それじゃあ、行こうか」

「うん」


それから私と遼佑は食事をして、帰路につく。
家まで送ってくれるのは、もう毎度の事だ。


「久美」


家の近くまで来て、遼佑が私を呼び止めた。


こんな場所で何だろうか。

不思議そうに私は遼佑を見ると、遼佑は私の手を両方取って俯く。


「どうしたの?」


それから、何も言わない遼佑に今度は私から尋ねる。
暫し、黙った後、遼佑は顔を上げた。



その真剣な、だけども、少し紅潮してる顔にドキッとする。




「俺、久美が好きだ」


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