シオン【完結】
そして。


――――――――――――よく晴れた日だった。




「おーいぃ、りょうーーー!」



俺を呼ぶ祥太郎の声が聞こえる。
その声の方を見ると、満面の笑みで手を振っている祥太郎がいた。



「おー祥太郎!」


返事をしながら、俺も手を振る。
目の前まで来た祥太郎は、肩で息をするとまたニカっと笑った。


「お土産、何か買った?」

「あー適当に。ほら」


そう言うと、俺は手に持った紙袋を見せる。
母親が買って来いって言うから、わざわざデパ地下に行った次第でして。


「あはは。俺も俺も」


紙袋の中を覗くと、祥太郎は笑いながら自分の持っている紙袋を見せた。
どうやら、母親ってのは思考が同じらしい。

巷で有名の甘い物があれば、多分満足なのだろう。


「さ、行くか」


そう言って、俺達は歩き出す。

向かう先は、新幹線のホーム。



今日は久美の命日の前日。
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