シオン【完結】
「さあね。その時によって違うから何とも」
「……」
「まあ、お兄さんが後悔、しないならね」
「……」
「それでも、戻る?」
「………」
その代償がわからなかったけど。
それを恐ろしく感じたけど。
でも、俺に戻らないって選択肢はなかった。
「過去に戻る、俺を祥太郎が死ぬ前まで戻してくれ」
男の子は目を細めると、
「了解」
そう言った。
それから、すぐだ。
俺の意識は遠退いて行った。
無事に戻ったら、久美をまず抱き締めに行こう。
そう、心に決めて。