博士と秘書のやさしい恋の始め方
彼女の意図がまったくわからなかった。

だいたいこれは彼女に買ってあげたつもりだったのだが。

まさか、実はそれほど気に入ってはいなかったのか? 

むしろ……邪魔なのか!?

「すみません、本当はこんなぬいぐるみ気持ち悪かったですか……」

「そんなことないですっ。すーっごく可愛いですっ」

「それなら、あなたが――」

「ミトコンドリアは先生のほうが似合います」

「は?」

ミトコンドリアが似合う??? 

ますますわからなくなってきたぞ……。

「だから、先生のおうちに置いてあげたほうがいいと思うんです」

「はぁ」

わかるようなわからないような? 

いや、ぜんぜんわからないだろう。

彼女に喜んで欲しくてプレゼントしたのに残念だが。

しかしまあ、それで彼女の気がすむのなら。

「いいですよ。俺のところで預かりましょう」

「ありがとうございますっ。それでですね、あのっ……」

まだ何か気がかりなことが? 

情けないことに、またもや彼女の心理がわからない。

俺もまだまだだな……。

「先生のおうちに、ときどき会いに行ってもいいでしょうか? その、ミトコンドリアに」


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