網の中の眠り姫

君よ、おやすみ

「松村先生、この後のご予定は?」


今から、村上が幹事となって、「精進落とし」の飲み会をするのだ。


「ちゃんと空けてきましたよ」


先生は、カーキ色の帽子をかぶり、鞄を抱えて微笑んだ。


「ところで村上君、頭がちょっと……」


「先生まで!これは剃っているんですよ、禿げてないです」


とぼけたような先生の言い方に、村上がむきになって抗議するのがおかしくて、居合わせた皆で大笑いした。


まのんちゃん、今日は会えてよかったよ。


君のことはずっと忘れない。辛いのに、よく長いこと頑張ったね。


おやすみ。いつまでも。


そして、また来年。


(2014.8.9)
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